pHが変動する要因の巻でゴザル!




pHは浄化槽内での生物処理反応などを見る上で、非常に重要な数値でゴザル!



●pHとは?●


水素イオン指数(すいそイオンしすう)とは、potential Hydrogen、または power of Hydrogenとの略語と言われており、溶液の酸性・アルカリ性の程度を表す物理量で、記号pH(ピーエッチ、ピーエイチ)で表す。

水素イオン濃度指数、または水素指数とも呼ばれる。1909年にデンマークの生化学者セーレン・セーレンセンが提案した。

希薄溶液のpHは、水素イオンのモル濃度をmol/L単位で表した数値の逆数の常用対数にほぼ等しい。


Wikipedia引用・加筆




pHに付いては、鈴研株式会社殿のホームページで詳しく解説されているので、ご紹介させて頂くでゴザル!








さてさて、浄化槽においてpHが変動する要因を記載するでゴザル!



●浄化槽においてpH低下(酸性)の要因●


■嫌気的生物反応によるもの(主に嫌気槽での反応)


・VFA(揮発性低級脂肪酸)や炭酸(二酸化炭素)の生成と蓄積

→嫌気消化により炭水化物(糖質)や油脂が低分子化することによりVFAや炭酸が生成され、蓄積するでゴザル。その事によりpHが低下するでゴザル。


・流入基質の異常

異常な基質の流入がある場合はpH6.0前後、もしくはそれ以下まで低下してしまい、所謂「酸敗(さんぱい)」と呼ばれる状況になることがあるでゴザル。酸敗になると菌の活性が低下してしまい、浄化不良となる場合があるため注意が必要でゴザル!

異常な流入基質として、油脂、梅酒(糖質≒グルコース)やらっきょう酢(酢酸)、糖尿などがあげられるでゴザル!



■好気的生物反応によるもの(主に好気槽での反応)


・硝化反応

→アンモニア酸化菌による、アンモニアの酸化。その際に亜硝酸イオンの生成に伴い水素イオン(オキソニウムイオン)が生成されることでpHが低下するでゴザル!


・二酸化炭素(炭酸)の生成

→酸化反応により、有機物は水(H2O)と二酸化炭素(CO2)が生成され、二酸化炭素(炭酸)が水に溶け込むことで酸性を示す。しかし実際には曝気撹拌により、二酸化炭素(炭酸)は揮発するためにpHの変動は確認しづらいでゴザル。




■その他

・大量の洗剤や洗浄剤などの薬品の流入
・塩素剤(消毒剤)との接触


●浄化槽においてpH上昇(アルカリ性)の要因●


■嫌気的生物反応によるもの(主に嫌気槽での反応)

・脱窒反応

→好気槽(酸化処理槽)で生成された亜硝酸と硝酸が、循環装置などで嫌気槽へと流入し、脱窒菌によって窒素ガスへと還元させる。その際にアルカリ度の生成がおこり、pHが上昇するでゴザル。


・アンモニア生成(スカム・汚泥の可溶化)

→汚泥やスカム、または菌などの細胞として固定されていた窒素(タンパク質等)が可溶化することにより、アンモニア(アンモニウムイオン)の生成がおこりpHが上昇するでゴザル。


・曝気によるVFA(揮発性低級脂肪酸)や炭酸(二酸化炭素)の揮発

→嫌気処理によって生成されたVFAや炭酸が、好気槽で曝気撹拌されることにより、揮発してしまい酸度が低下する。そのことでpHが上昇するでゴザル。



■好気的生物反応によるもの


特に思いつかないでゴザル!
情報の提供を求むでゴザル!


■その他

・異常な基質の流入(薬品など)





●実例●


(例1)
糖尿病による尿糖(ブドウ糖=グルコース)の流入の反応では、嫌気処理では酸生成の反応になる。よって、pHは低下し酸敗になる場合があるでゴザル。


(例2)
曝気槽pH6.7、DO3.0(ORPはプラスとする)で、沈殿槽がpH7.1、DO0.3(ORPはマイナスとする)だったとすると、沈殿槽底部で底部汚泥が嫌気的腐敗を起こし、脱窒とアンモニア(アンモニウムイオン)の生成が起きていると推定出来る。

(例3)
循環水量を設定すると、嫌気槽でのHRTが低下し、酸生成は減少する。つまりはpHの上昇(正確には「低下し難い」)が起きると同時に、曝気槽で生成された亜硝酸・硝酸が嫌気槽で脱窒される事によりpHの上昇が起こるでゴザル。

(例4)
冬場などでは嫌気槽より曝気槽の方が、pHが高いと言うことが起こりうるでゴザル。
嫌気槽pH6.8→曝気槽pH7.6などへの変化する要因は、

①水温の低下による亜硝酸菌の活性の低下や、サカマキガイなどの後生動物が亜硝酸菌を食べてしまう食害。

②嫌気槽で生成されたVFA・炭酸が曝気槽で揮発する

これらのpHの上昇の要因が重なって起きるものと思われているでゴザル。

この現象は、特にサカマキガイが発生し、かつ、循環装置を停止させている浄化槽では、冬場などの低水温期であれば高頻度で確認がとれると思うで、是非確認してみて欲しいでゴザル!

(例5)
1次処理である嫌気槽(汚泥貯留槽)からの曝気槽への汚泥の流入が多く、曝気槽内のBODが高くなり、硝化菌の活性が低下する事により、pHの低下がし難くなるでゴザル。一般的に硝化菌はBODが低い状態でなければ活性が低下すると言われているでゴザル!
また同時に汚泥が多く流入することにより、汚泥の可溶化が進みアンモニアが生成されpHが上昇するでゴザル。


●まとめ●

繰り返しになるが、pHは浄化槽内での生物処理反応などを見る上で非常に重要な数値でゴザル!
pHの変動を見ることで、各層の状態を推定することができるでゴザル!
よって可能な限り、各単位装置ごとのpHを測定することが重要でゴザル!



2022/7/20  公開

浄化槽侍JokerSOWによる小型合併浄化槽 透視度改善BLOG

浄化槽侍Joker SOWによる浄化槽透視度 改善BLOGでゴザル! 皆さんのお困り事や改善方法を教えて下さい。

0コメント

  • 1000 / 1000