サカマキガイ(貝類)が与える影響と駆除方法

2022.1 公開
2022.5 追記



サカマキガイとは


サカマキガイ(逆巻貝)、学名 Physa acuta は、有肺目サカマキガイ科に分類される淡水産の巻貝の一種。和名は、殻が多くの巻貝類とは逆の左巻きであることに由来する。

外見や生息環境はモノアラガイ類にやや似ているが、殻の巻く方向が逆であることや、触角が細長い鞭状であることなどから区別できる。
北米原産とされる。汚染や環境の変化に強く、水草などに付いて世界各地に移入・帰化している。

日本でも全国に分布するが、特に富栄養化の進んだ用水路などの止水域、半止水域に多産することが多い。属名の Physa は泡のこと、種小名の acuta =「尖っている」は、Physa 属のタイプ種であるヒダリマキガイ Physa fontinalis に比べ殻頂が尖っていることによる。


Wikipediaより引用


生態


雌雄同体で他個体との交尾もするが、しばしば自家受精もする。卵生で、透明なゼラチン質の卵嚢(あるいは卵嚢塊)を水中の物体に付着させる。水温が一定以上であればほぼ1年を通して繁殖し、水槽内などでは瞬く間に増えることもある。

通常卵から2週間ほどで孵化し、3ヶ月で成体となり産卵を行えるようになる。

有肺類でありながら、水を満たして密封した容器内で何日も平気で活動できることも知られている。これは先述の偽鰓や皮膚呼吸などで酸素を取り入れているからだと考えられる。

浄化槽内の生物膜をよく食べるため、一見餌が無さそうな所でも生息していることがある。他の個体が死ぬとすぐにその肉を他の個体が食べることもよくあるが、これは同じような環境で見られるヒメモノアラガイでも観察される。このような呼吸法や食性の幅の広さ、自家受精による産卵などによって、劣悪な環境や不安定な水域での繁殖も可能となり、世界各地に分布を拡大した。日本のものも1935年~1940年頃、水草などと共に持ち込まれたとされる外来個体群である。



Wikipediaより引用加筆編集


浄化槽への影響


凄まじい繁殖力と旺盛な食欲により、浄化槽内の生物膜を食べてしまう為に、透視度が低下する傾向にある。また曝気槽内では接触材・担体の硝化菌も食べてしまう為に、pHが下がりにくい傾向にあるでゴザル!拙者の私見では、サカマキガイが生息しているか、いないかにより、曝気槽のpHは1.0〜3.0程度の差が出ていると感じているでゴザル!

最近の浄化槽(コンパクト・モアコンパクト型)は、1槽目にも散気管を設けて曝気している型式も多くある為に、サカマキガイの影響を受けやすいでゴザル!嫌気ろ床接触ばっ気方式(構造例示型)の浄化槽では、嫌気槽でのBOD除去が多くの割合を占めるため、コンパクト・モアコンパクト型に比べると影響は僅かに少なく感じるでゴザル!ただし担体流動式などの移動ろ床方式では影響が少ないと言う調査報告もあり、拙者もそれに同意するでゴザル!

生物膜への食害に付いては、実際に曝気槽内の水をヒシャクなどで採水し、水をよく見てみるとサカマキガイの糞が見受けられるでゴザル!基本的にサカマキガイの糞は、生物膜や、汚泥を食べたものとみて間違いないと思うでゴザル!同時にミジンコやミズミミズの有無の観察も行うと良いでゴザル!


侵入経路


一般的には放流先の側溝などから浄化槽に侵入してくると言われているが、拙者の現場(サカマキガイ発生現場約500件)では2〜3現場のみ、放流先からの侵入と推測できていないでゴザル!
では主な侵入経路は、何かと言うと

①浄化槽管理点検の際に計器に付着しての伝搬
②清掃時にバキューム車での吐き出しや清掃時の道具類に付着しての伝搬

そのほか頻度は低いが、アクアリウムの排水からの侵入の場合もあるでゴザル!

浄化槽の管理や清掃の際には、サカマキガイのみならず、ミジンコ類やミズミミズの伝搬にも気をつけなれけばならないでゴザル!


駆除方法



駆除方法によっては水質基準から外れる可能性があるために、駆除前に検査機関等に駆除の実施について確認をお願いいたしますでゴザル!


駆除方法は大きく5通りに分けられるでゴザル!


①消石灰と硫安を投入する
②消石灰のみを投入する
③駆除剤を投入する
④塩素を投入する
⑤低DOで運転する




①消石灰と硫安を投入する
消石灰をバケツに入れて水で溶かし投入する。槽内のpHが8.6〜9.4になる様にする。そして硫安をバケツに入れて水で溶かし投入する。硫安は槽内の水量1,000Lあたり500g程度を投入する。
サカマキガイは硫安から生成されたアンモニアで死に至る。
ただ拙者は、硫安(アンモニア)に含まれる窒素が多い為に、放流先への富栄養化の観点から使用を控えているでゴザル!


②消石灰のみを投入する(推奨)
消石灰をバケツに入れて水で溶かし投入する。槽内のpHが約11.0になる様にする。
サカマキガイは消石灰から生成された水酸化物イオンで、タンパク質変異をおこし死に至る。
流入水量が多いと、直ぐに汚泥からなる酸(VFAや炭酸等)と中和してしまい、効果が薄まるので注意が必要でゴザル!
なるべく流入の少ない時間帯に添加して、pHが高い状態を長く維持することが大事でゴザル!
可能であれば、全量引抜の清掃直後に添加し、循環水量を10㎥/日以上に設定し、槽全体のpHを上げることで完全駆除が出来る可能性が高くなるでゴザル!
ちなみに卵塊の状態では効果が弱い為に、さらに2〜3週間後に孵化した状態で、もう一度行うと効果は大きいでゴザル!


③駆除剤を投入する(推奨)
市販されているサカマキガイの駆除剤は、詳しいことは企業秘密であるようだが、カチオン系凝集剤が有効成分となり、タンパク質変異を起こし、殺すことが出来るようであるでゴザル!
メリットは散布が非常に容易に行える事だが、デメリットは1件分あたり駆除剤が約3,000円と高価である点、確実に全滅させるためには使用量と使用頻度を増やす必要がある点であるでゴザル!
ちなみにカチオン系凝集剤であるため、使用すると透視度が一時的に向上するでゴザル!
完全に駆除するためには、2〜3週間の期間を開けて数回添加する必要があるでゴザル!



④塩素を投入する(非推奨)
浄化槽において、放流する際には塩素で消毒を行
っているが、その塩素(トリクロロイソシアヌル酸)を使用する方法もあるでゴザル!
塩素を投入することで、水中の遊離塩素(有効成分 次亜塩素酸)を1.0mg/L以上にすることで貝とその卵塊も駆除することが可能でゴザル!
使用方法として浄化槽の全量引抜清掃直後に、曝気槽へ約0.75Kg〜約1.5Kg投入し、循環水量を多くする(約10㎥/日以上)ことで嫌気槽側にも塩素を送り、全槽の貝を駆除するでゴザル!

メリットは駆除剤同様に散布が容易である点、価格も約1,000円と安価でゴザル!
デメリットは塩素自体が酸化力が強く、貝と共に有益な菌も殺してしまうために、投入後2ヶ月程度は浄化不良となるでゴザル!

また塩素ガスによる人体への影響、近くの金属に対する腐食、風通しの悪い現場であれば塩素臭がしてしまうので「極めて注意」が必要でゴザル!


またスポンジ担体の場合は塩素濃度と塩素の滞留時間によっては溶け出して小さくなったり、無くなったりすることがあるので、注意が必要でゴザル!
放流先の側溝や河川などには影響がでる可能性もあるために、注視しておくことが望ましいでゴザル!



⑤低DOで運転する
サカマキガイなど貝類を含む後生動物は、全て酸素を必要としており、当たり前ではあるが酸素が少ない状況が続くと死に至る。
ただ共通して言えることは、低DO運転を行っても、サカマキガイが水面まで上昇して呼吸することで生育する場合が多い。そして嫌気槽上部にもサカマキガイが発生している場合も通常の低DO運転方法では駆除が困難でゴザル!



いくつかの方法があるので例にあげるでゴザル!


①コンセントタイマーを利用した間欠曝気運転
②エアー抜き(散気量低下)を利用した運転
③間欠曝気運転とエアー抜きを併用した運転
④ブロワーの故障により不可抗力としての低DO運転(高アンモニア性窒素)



①コンセントタイマーを利用した間欠曝気運転

ブロワーにコンセントタイマーを取り付けて間欠曝気運転を行うことで、DO(溶存酸素)を低下さる。曝気槽がDO1.0mg/L以下(推奨0.1mg/L以下)になる時間を連続して4時間以上確保することが望ましい。その事でサカマキガイを少なくすることが可能であるが、完全に駆除することは非常に難しい。完全駆除は出来ないまでも、DOを1.0mg/L以下にすることで、サカマキガイの影響を少なくすることが出来る場合があるでゴザル!
メリットは環境に優しく透視度の向上が見込める点。デメリットは型式によっては低負荷現場でDOを下げることが難しい現場もある点、生育の制御が困難な場合もある店点、また完全駆除は非常に難しい点でゴザル!


→間欠曝気運転を織り込んだ新たな駆除方法を試験中である。また良い結果が出れば報告するでゴザル!



②エアー抜き(散気量低下)を利用した運転
③間欠曝気運転とエアー抜きを併用した運転

多くの嫌気ろ床接触ばっ気方式(構造例示型)の浄化槽にはエアー抜きが設置されているので、エアー抜きを使い、DOを下げて運転する。この場合はDO1.0mg/L以下での運転が望ましい。
しかし、完全に駆除するのは非常に難しいでゴザル!

なお、コンセントタイマーを利用した間欠曝気運転とエアー抜きを併用することで、効果を高める事が期待できる。その場合は嫌気状態が長く続く為に、腐敗や悪臭などの発生にも繋がるので注意が必要でゴザル!

またこの方法は、嫌気槽での処理が良好に行われて曝気槽への流入BODが低い浄化槽ではお勧めであるが、腐敗や悪臭や透視度の悪化と言う点で、曝気槽への流入BODが高い場合はお勧め出来かねるでゴザル!



④ブロワーの故障により不可抗力としての低DO運転(高アンモニア性窒素)

ブロワーが壊れた際には、曝気槽のDOが0.1mg/L以下になる場合が多い。通常、浄化槽の点検は3〜4ヶ月に1度と言う地域が多い為に、点検直後にブロワーが故障した場合は、3〜4ヶ月間は嫌気状態となる。この事により、DOの低下とアンモニア性窒素の増加により、サカマキガイが死に至るでゴザル!
運が良ければ完全駆除となる場合もある。しかし臭気や透視度の悪化の問題も生じるため、偶発的で無ければ中々難しいところでゴザル!


●駆除の失敗



完全な駆除が行えていなければ、駆除処理から通常約3ヶ月後、約6ヶ月後、約9ヶ月にサカマキガイが再発する。サカマキガイが孵化から約3ヶ月に産卵が可能となる為でゴザル!
基本的には駆除処理から約9ヶ月後にサカマキガイが目視出来なければ、完全駆除出来たと考えてもおおよそ問題ないでゴザル!


執筆中

浄化槽侍JokerSOWによる小型合併浄化槽 透視度改善BLOG

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