流入水量の測定について



小型合併浄化槽において、流入水量は非常に重要な確認項目でゴザル!
流入水量を確認することにより、下記の点を把握、または推定することが出来るため、透視度の悪化・改善方法を推定することができるでゴザル!

①処理性能以上の水量が流入していないか把握
②流入水量が多い場合、総じて流入負荷が高いと推定出来る
③流入水量が少ないため、洗剤等の毒性物質が薄まっているか否かの推定が出来る
④流入水量が極端に少ない場合、し尿の割合が高いなど流入負荷の濃度が高い可能性を推定出来る


●確認方法●


小型合併浄化槽の場合は、流入水量計や流入(原水)ポンプのアワーメーターが基本的には備えられていない。
そのために上水道の量水器(水道メーター)の値を読み取り、経過した日数と、増加した値から1日あたりの平均水量を割り出すことで、流入水量とするでゴザル。
記録に際しては、小数点第3位を四捨五入し、小数点第2位までを記録する事をお勧めするでゴザル!

(例)
4月1日 量水器123㎥
※小数点第1位は四捨五入でも切上げ切捨ての何れでも、統一出来ていれば問題ないでゴザル
8月1日 量水器234㎥

量水器増加値 234㎥−123㎥=111㎥
期間 122日間

111㎥÷122日≒0.909836…㎥
→≒0.91㎥/日


●解説●



①処理性能・設計以上の水量が流入していないか把握する

→ご存知の通り、浄化槽には処理できる目安があり、日平均汚水量の原単位として200L/人/日で計算している。つまり5人槽であれば通常は1.0㎥までとなる。この水量を目安として負荷の推定をするでゴザル。
ただ実際の使用については200〜300L/人/日あたりが妥当なところでゴザル。

②流入水量が多い場合、総じて流入負荷が高いと推定出来る

→流入水量が多い現場では、ピークも高い傾向がある。そのことにより底部汚泥が撹拌され後段へ汚泥が流出することがある。その様な傾向を把握することも出来るので、使用人数も合わせて確認が必要でゴザル!

③流入水量が少ないため、洗剤等の毒性物質が薄まっているか否かの推定が出来る

この項目は重要でゴザル!
体感としては、西暦2019年から新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の流行も相まってか、人々の殺菌・除菌に対する意識が高まった様な印象を受けるでゴザル。定かではないが、洗濯洗剤や柔軟剤なども殺菌・除菌・消臭を謳う商品が多く販売される様になった気がするでゴザル。
殺菌効果が高い洗剤が浄化槽に流入してくることで、菌の活性が失われ、透視度に影響がでる場合が増えてきた印象でゴザル!
特に流入水量が少なく、洗濯の回数(洗剤・柔軟剤の使用量)が多い現場では、洗剤の希釈割合が少なくなり、より菌の活性が失われると考察されるでゴザル。
目安として、流入水量300L/日に対して、洗濯洗剤60mg+柔軟剤が、透視度が悪くなるか否かの境あたりではないかと考察しているでゴザル!
この様に、洗剤の希釈を把握・推定する上で、非常に重要な項目であるでゴザル!

④流入水量が極端に少ない場合、し尿の割合が高いなど流入負荷の濃度が高い可能性を推定出来る

→小型合併浄化槽でも稀に、槽内の水や処理水が単独浄化槽の様に茶色になっている現場も見受けられるでゴザル。
流入水量を測定することで、主な流入がトイレからである事が推測できるでゴザル。
またし尿の希釈濃度計算については、単独浄化槽と同様に、し尿中にはおよそ5500 mg/Lの塩化物イオンが含まれているので、指定検査機関などからの塩化物イオン濃度データと比較し、希釈倍率を計算することができるでゴザル。



●注意点●


上水道の漏水

量水器(水道メーター)を見るときに、上水道が漏水していないか確認が必要でゴザル。漏水している場合は、ある程度一定のスピードで量水器のパイロットが回っているでゴザル。漏水があると流入水量の把握が難しくなるので、漏水している場合は管理者に報告の上、修繕を頼もうでゴザル。
ただし、漏水している場合でも、数分間時間を計りながら数値を確認することで、大凡の漏水の水量を把握することが可能でゴザル。
(例)
読み値 1.00㎥/日 − 漏水量 0.30㎥/日 = 流入水量 0.70㎥/日

庭木などへの散水

散水を使用した場合は、その排水は一般的に浄化槽へ流入しないでゴザル。その為、散水の使用が多いと、量水器の値を読むだけでは浄化槽への流入水量の把握が出来ないでゴザル。

対策として、使用者にどの程度散水で水を使用しているかうかがう方法もあるが、その他、12月から3月にかけては比較的、散水を使用するケースが少ない為、この期間の量水器読み値は実際の浄化槽への流入水量と等しくなる場合が多いでゴザル。ただし、時期によっては水道水の利用が変動している可能性がある為、考慮する必要があるゴザル。


井戸水などの上水道以外からの流入がある場合

よくあるケースとしては、井戸水を使用し、その排水が浄化槽へと流入するケースである。
上水道の使用ではないために量水器でのカウントはされず、実際の流入水量よりも低い値を測定・推測してしまうでゴザル。
この場合は、流入水量が多い事による過負荷や、流入水量が少ないことによる過負荷、毒性物質の希釈などの推定に大きな誤差が生じてしまうため、使用が疑われる場合は必ず、使用者に確認するべく項目であるでゴザル。

BOD除去率への影響

小型合併浄化槽の場合、この問題が明るみに出るケースは中々無いが、浄化槽の処理性能として重要な点でゴザル。
BODの原単位として40g/人/日で計算されるが、流入水量=放流水量として、透視度(推定BOD5)が良好な場合においても、水量が多く、結果的に希釈されているような場合は、除去率を計算すると基準外になるケースもあるでゴザル。


●まとめ●

流入水量の把握は、透視度悪化や改善にあたり、非常に重要な項目であるため、必ず測定する必要があるでゴザル!
特に洗剤による透視度悪化事例も増えているので、希釈を考える上で非常に重要でゴザル!
また、量水器を確認すると同時に、使用者に対して井戸水の使用や庭木への散水などでの使用が無いか、ヒアリングも重要でゴザル!




2022/7  公開

浄化槽侍JokerSOWによる小型合併浄化槽 透視度改善BLOG

浄化槽侍Joker SOWによる浄化槽透視度 改善BLOGでゴザル! 皆さんのお困り事や改善方法を教えて下さい。

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